令和7年度の通常国会で年金制度改正案が国会に提出されました。
改正の趣旨
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化を図る観点から、働き方や男女の差などに中立的で、ライフサイクルや家族構成などの多様化を踏まえた年金制度を構築するとともに、所得再配分機能の強化や私的年金制度の拡充等により高齢期における生活の安定を図るため、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化を図る観点から、働き方や男女の差などに中立的で、ライフサイクルや家族構成などの多様化を踏まえた年金制度を構築するとともに、所得再配分機能の強化や私的年金制度の拡充等により高齢期における生活の安定を図るため、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、遺族年金の見直し、標準報酬月額の段階的引き上げ、個人型確定拠出年金の加入可能年齢の引き上げなどの措置を講ずるとされています。
働き方に中立的で、ライフスタイルの多様化等を踏まえた制度を構築するとともに、高齢期における生活の安定及び所得再分配機能の強化を図るための公的年金制度の見直し
1.被用者保険の適用拡大等
- 短時間労働者の適用要件のうち、賃金要件を撤廃するとともに、企業規模要件を令和9年10月1日から令和17年10月1日までの間に段階的に撤廃されます。
- 常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種を解消し、被用者保険の適用事業所とされます。※既存事業所は、経過措置として当分の間は適用されません。
- 適用拡大にともない、保険料負担割合を変更することで労働者の保険料負担を軽減できることとし、労使折半を越えて事業主が負担した保険料を制度的に支援することとされています。
2.在職老齢年金制度の見直し
一定の収入のある厚生年金受給権者が対象の在職老齢年金制度について、支給停止となる収入基準額を50万円(令和6年度価格)から62万円に引き上げる。
3.遺族年金の見直し
- 遺族厚生年金の男女格差解消のため、18歳未満の子のない20~50代の配偶者を原則5年の有期給付とし、60歳未満の男性を新たに支給対象とする。これにともなう配慮措置として、5年経過後の給付の継続、死亡分割制度及び有期給付加算の新設、収入要件の廃止、中高齢寡婦加算の段階的見直しを行う。
- 子に支給する遺族基礎年金について、遺族基礎年金の受給権を有さない父母と生計を同じくする支給停止に係る規定を見直す。

4.厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引き上げ
標準報酬月額の上限について、負担能力に応じた負担を求め、将来の給付を充実する観点から、その上限額を65万円から75万円に段階的に引き上げる(※)とともに、最高等級の者が被保険者全体に占める割合に基づき改定できるルールを導入する。 ※68万円→71万円→75万円に段階的に引き上げる。
5.将来の基礎年金の給付水準の底上げ
- 政府は、今後の社会経済情勢の変化を見極め、次期財政検証において基礎年金と厚生年金の調整期間の見直しに著しい差異があり、公的年金制度の所得再配分機能の低下により基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、基礎年金または厚生年金の受給権者の将来における基礎年金の給付水準の向上を図るため、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドによる調整を同時に終了させるために必要な法制上の措置を講ずるものとする。この場合において、給付と負担の均衡がとれた持続可能な公的年金制度の確立について検討を行うものとする。
- 1.の措置を講ずる場合において、基礎年金の額及び厚生年金の額の合計額が、当該措置を講じなかった場合に支給されることとなる基礎年金の額及び厚生年金の額の合計額を下回るときは、その影響を緩和するために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
私的年金制度の見直し
- 個人型確定拠出年金の加入可能年齢の上限を70歳未満に引き上げる。
- 企業年金の運用の見える化(情報開示)として厚生労働省が情報を集約し公表することとする。
その他
- 子のある年金受給者の保護を強化する観点から子に係る加算額の引き上げ等を行いつつ、老齢厚生年金の配偶者加給年金の額を見直す。
- 再入国の許可を受けて出国した外国人について、当該許可の有効期間内は脱退一時金を請求できないこととする。
- 令和2年改正法附則による検討を引き続き行うに際して、社会経済情勢の変化を見極めるため、報酬比例部分のマクロ経済スライドによる給付調整を、講じた上で次期財政検証の翌年度まで継続する。
以上が、令和7年度通常国会に提出された年金制度改正法案です。
厚生労働省(この改正案に関するページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html
対応地域(三重県全域)
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