「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法案」と、同法案の規定を担保する「貨物自動車運送事業のための体制の整備等の推進に関する法案」で構成される「トラック新法」が、令和7年6月4日、参議院本会議で審議され、可決・成立しました。
トラック新法の趣旨
改正貨物自動車運送事業法では、トラック運送事業の許可更新制の導入、運送委託次数の制限、適正原価を下回る運賃・料金の制限、「白トラ」など無許可事業者への運送委託禁止の強化、労働者の適切な処遇の確保といった新たなルールが追加されます。
1990年の規制緩和以降、参入規制の事実上の撤廃などで自由競争下にあった日本のトラック運送市場は、今回の法改正で大きな転換期を迎えることになります。

トラック新法の要点
- トラック運送事業の許可更新制度の導入(5年ごと)
- 運送委託次数の制限(2次請けまで)
- 適正原価を下回る運賃・料金の制限
- 無許可事業者(白トラなど)への運送委託の禁止強化
- 労働者の適正な処遇の確保
改正法では、トラック運送事業の許可が5年ごとの更新制になるほか、真荷主(貨物自動車運送事業者また貨物利用運送事業者以外の者で、貨物自動車運送事業者または貨物利用運送事業者との間で運送契約を締結して貨物の運送を委託する者)から元請として運送を引き受ける場合、再委託の回数は2回以内に制限することが努力義務として定められています。
トラック運送事業者が自ら貨物を運んだり、他の事業者に運送を委託をしたりする場合には、国土交通大臣が告示する「適正原価」を継続して下回ってはならないことを明記し、労働者(ドライバーなど)の適切な処遇の確保につなげることとされています。
具体的には、トラック運送事業の運賃や料金について、これまで国が告示していた「標準的な運賃」制度は強制力がないためこれを廃止し、燃料費、全産業の平均額を踏まえた人件費、輸送の安全確保のために必要な経費など、必要最低限のコストを的確に反映した「適正原価」を国が示し、適正原価を支払わない荷主に対して是正指導が行われることになりました。
また、定期的なチェックにより荷物を不当に安い料金で運ぶ運送事業者を排除したり、多重下請にも歯止めをかけると共に、ドライバーなどの賃金など処遇を改善するなどを目的に、今回の法改正が行われました。
貨物自動車運送事業法の一部改正案の規定を担保するための貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律では、改正貨物自動車運送事業法の施行後3年以内を目途に必要な法制上の措置を講じることや、独立行政法人による許可更新の事務や事業適正化支援を適切かつ効率的に実施できる体制の整備、新ルールへの移行に必要となる財源の確保、政府による「物流政策推進会議」の設置などについて明記されています。
改正貨物自動車運送事業法のうち、詳細な制度設計や体制づくりに時間を要することが想定される許可更新制度、適正原価の告示、労働者処遇の確保などは公布日から起算して3年以内で政令で定める日に、一方、運送委託次数の制限や白トラ対策などは公布日から1年以内に施行する見通しです。
また、貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律は公布日に即日施行されます。
対応地域(三重県全域)
- 津市 / 四日市市 / 伊勢市 / 松阪市 / 桑名市 / 鈴鹿市
- 名張市 / 尾鷲市 / 亀山市 / 鳥羽市 / 熊野市 / いなべ市
- 木曽岬町 / 東員町 / 菰野町 / 朝日町 / 川越町 / 多気町
- 明和町 / 大台町 / 玉城町 / 度会町 / 大紀町 / 南伊勢町
貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和5年法律第62号)についてはhttps://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000115.html
コメント