【三重県の行政書士が解説】疼痛等感覚障害の後遺障害

交通事故でねんざや打撲など比較的軽微な怪我をした後で、その受傷した部分の腫れが引かなかったり、皮膚の色が正常でなかったり、焼けるような酷い痛み(「灼熱痛」と表現されたりします)、痺れに慢性的に悩まされてしまうことがあります。
このような疼痛性感覚異常はCRPSが疑われます。

CRPSとは、Complex Regional Pain Syndromeの略称であり、日本語では複合性局所疼痛症候群と訳されます。「症候群」という名前が示している通り、CRPSは総称です。交感神経の関与の有無に応じて、神経損傷を伴わない「RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)」と、神経損傷を伴う「カウザルギー」に分類されます。

これらはいずれも神経因性の疼痛を生じさせるもので、以下の症状が特徴として挙げられます。

また、発症する部位は四肢(手や足)がほとんどであり、体幹や顔への発症は稀です。

  1. 激しい灼熱痛や疼痛
  2. 腫脹(炎症などが原因で体が腫れあがること)
  3. 関節拘縮(骨の委縮やこわばり)
  4. 皮膚の変化(皮膚色の変化、皮膚温の低下、乾燥など)

よって、この疼痛、腫脹、関節拘縮、皮膚の変化の4つの症状が健側(障害や麻痺のない健康な側)と比べて認められればCRPSが疑われます。また、交通事故の受傷から時間が経過し、治療段階やリハビリの段階と考えられる時期に発症することが多いのも特徴です。

目次

CRPS(複合性局所疼痛症候群)

CRPSとは、カウザルギーとRSDの総称です。これは、強い疼痛が続いたために、痛覚に対応する交感神経反射が過剰に継続し、上肢や下肢の末端部の血流障害が常態化して、上肢や下肢の末端部の組織が二次的に破壊され疼痛が生じるもののことを言います。

自賠責保険の要件としては、①関節拘縮、②骨委縮、③皮膚変化、の3つですが、実務上は骨委縮がCRPSに特有の症状で判断基準になることが多いです。

自賠責保険が等級認定するのは「誰が見てもCRPSである」という典型的な症状に限られていますが、そこまで重篤な症状は滅多にありません。鎮痛剤やブロック注射等を続けて、軽度のCRPSに留まっている被害者の多くには骨委縮が見られず、非該当や14級9号の認定に留まることがほとんどです。

また、低髄液圧症候群と同様に、主治医と関係が悪化して病院を転々としている被害者が多いのが現状です。

神経系統の機能又は精神の障害に関する障害認定基準

疼痛等感覚障害

受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害については、次により認定されます。

疼痛

  • 「通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支えがあるもの」は第12級の12とする。
  • 「通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの」は第14級の9とする。

疼痛以外の感覚障害

疼痛以外の異常感覚(蟻走感、感覚脱失等)が発現した場合は、その範囲が広いものに限り、第14級の9とする。

特殊な性状の疼痛

(ア)カウザルギーについては、疼痛の部位、性状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度と持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見などにより、疼痛の労働能力に及ぼす影響を判断して次のごとく等級の認定を行うこと。

  • 「軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの」は、第7級の3とする。
  • 「通常の労務に服することはできるが、疼痛により時には労働に従事することがなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当程度に制限されるもの」は、第9級の7の2とする。
  • 「通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの」は、第12級の12とする。

後遺障害についてお気軽にお問い合わせください

TEL 059-253-7166

平日 9:00~18:00

(イ)反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)については、①関節拘縮、②骨の萎縮、③皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)という慢性期の主要な3つのいずれの症状も健側と比較して明らかに認められる場合に限り、カウザルギーと同様の基準により、それぞれ第7級の3、第9級の7の2、第12級の12に認定すること。

※外傷後疼痛が治癒後も消退せず、疼痛の性質、強さなどについて病的な状態を現すことがあります。

この外傷後疼痛のうち特殊な型としては、末梢神経の不完全損傷によって生ずる灼熱痛(カウザルギー)があり、これは、血管運動性症状、発汗の異常、軟部組織の栄養状態の異常、骨の変化(ズデック萎縮)などを伴う強度の疼痛です。

また、これに類似して、例えば尺骨神経等の主要な末梢神経の損傷がなくても、微細な末梢神経の損傷が生じ、外傷部位に、同様の疼痛がおこることがある(反射性交換神経性ジストロフィー(RSD)という。)が、その場合、エックス線写真等の資料により、上記の要件を確認することができます。

なお、障害等級認定時において、外傷後生じた疼痛が自然的経過によって消退すると認められるものは、障害補償の対象とはなりません。

神経系統の機能又は精神の障害に関する障害認定基準は上記のように定められています。

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疼痛性感覚異常(CRPS、RSD)の後遺障害認定の際のポイント

CRPSの症状に対する自賠責保険での後遺障害認定では、「1、関節拘縮 2、骨の委縮 3、皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の委縮)という慢性期の主要な3つの症状を健側と比較して、明らかに認められる場合」との要件を求めていますので、1、関節拘縮 2、骨の委縮 3、皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の委縮)の3つの医学的異常所見をいかに客観的に証明できるかどうかが重要になってきます。

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損害保険料率算出機構 https://www.giroj.or.jp/

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