【三重県の行政書士が解説】むち打ちの後遺障害の実質的な判断要素

目次

むち打ちの後遺障害では、

(1)第12級13号:症状の残存が医学的に証明できること

これは、CT、MRIによる脳挫傷所見、脊髄の髄内損傷所見、神経根圧俳所見、靭帯損傷画像所見、XPによる偽関節や変形癒合、腱反射の異常、筋電図や神経伝導検査などの、客観的な検査結果によって神経症状の残存が証明されることとされています。

ジャクソン、スパーリングテスト、ラセーグテストなどの、腱反射以外の徒手による神経学的検査所見は、補助的に用いられます。

(2)第14級9号

事故態様、受傷態様、症状の発症時期、治療経過、医師による診断によって症状固定時およびその後長期にわたる神経症状の残存が医学的に説明できることとされています。

各種検査と認定結果への影響

むち打ち損傷に関する検査としては、XP、CT、MRI等の画像検査が有名です。また、反射の検査として、腱検査、ジャクソンテスト、スパーリングテスト、ホフマン反射、トレムナー反射、ワルテンベルグ反射、バビンスキー反射などが挙げられます。その他、筋力に関する徒手筋力評価(MMT)、頸部の可動域検査なども行われることがあります。

しかし、これらの検査の多くは、神経系統の障害の存在そのものを直接的に証明するものではなく、検査の結果の存在を以って神経系統の障害を推測させる、いわば状況証拠の1つにすぎません。

検査結果の存在は、認定・非該当の決め手にはなりません

腱反射、ジャクソンテスト、スパーリングテスト、XP、MRIいずれも実施していない、または正常とされたケースでも認定されるケースがあります。なので、何らかの検査がされなければ等級認定はされないということが、よく言われていますが、「およそ検査を受けなければ認定がされない」という意味であればこれは誤りです。

ただ、「等級認定が下りるか下りないか」という部分については、検査結果が必須とは言えませんが「第12級13号か、14級9号か」という分かれ目においては、検査結果の存在が必要ということも言えます。

検査結果間の整合性が非常に重要です

何らかの有意な検査結果があったとしても、それと整合性のない別の検査結果が存在する場合、その案件に関する検査結果全体に対する信用性が揺らぐことになります。そして、その検査結果間の矛盾が、非該当という判断を受ける理由となることが少なくありません。

上記2点から言えること

後遺障害について適正な認定を受けるためには、有意な検査結果が複数存在し、かつ、それらが全て矛盾なく整合しているというのが理想です。

特に12級13号の認定をされるためには、このような理想的な検査結果を揃えて被害者請求を行うことが必要です。

ただし、検査が絶対的ではなく、検査結果がなければ等級認定は無理とまでは言えません。何ら検査を行わずに症状固定から長期間が経過してしまったからといって、その段階から被害者請求をすることが無意味とは言えず、検討の余地があります。

自動車、二輪車、自転車または歩行者の区分と認定結果への影響

一般的に、被害者が自動車に乗車中であるよりも、二輪車や自転車に乗車中あるいは歩行中であるほうが、等級認定されやすいと言われています。実際には、被害者が二輪車や自転車に乗車中あるいは歩行中である方が、若干認定されやすい傾向があるという程度にとどまります。

なお、むち打ち損傷とは若干適用範囲は異なりますが、被害者が二輪車や自転車に乗車中あるいは歩行中の場合、自動車に乗っている被害者と異なって外部に生身の体が晒されていることから、むち打ち損傷以外の非常に重い後遺障害を負う傾向があります。

治療期間の認定結果への影響

治療期間が半年に満たない場合は非該当となる可能性が高いと言えます。かといって治療期間が半年以上であれば、長い方が認定されやすいとまでは言い難いです。

治療期間だけで言えば、相当数の逆転現象もみられ、治療期間が認定判断の要件となっているとしても、あくまで補助的要素であることが推測されます。

通院実日数の認定結果への影響

むち打ち損傷において、局部の神経系統の障害として認定を受けるために通院実日数がどの程度必要かがよく問題とされます。

通院期間と同様、認定案件の方が非該当案件よりも通院実日数が多いと言えますが、こちらも逆転現象がみられるため、通院実日数が多い方が認定されやすいとまでは言い切れません。すなはち、通院実日数も認定判断の要件となっているとしてもあくまで補助的要素であると推測されます。

病院での治療の認定結果への影響

むち打ち損傷では、接骨院、整骨院、鍼灸、マッサージ等の施術費は、症状により有効かつ相当な場合、医師の指示がある場合などは賠償の対象として認められる傾向にあるとされています。

一部において接骨院、整骨院、による施術ばかりでは認定がなされないような説明がされることがあります。しかし、そのような傾向があるという限度では正しいですが、その傾向も緩やかな傾向にとどまっています。

まとめ

いわゆるむち打ち損傷による後遺障害は、外形醜状や手足の欠損と異なり、障害それ自体を直接目視などで確認することができません。そして、認定結果に影響を与えると言われている上記のそれぞれの要素は、いずれもそれ一つで決定的な意味を持つことがないのは明らかです。

そこで、被害者として適正な等級認定を受けるためには、上記の要素がどのように認定結果に作用するかを理解し、なるべく多くの要素を集めて、真実を曲げることなくありのままに被害者請求の資料として提出できるように準備していくことが重要です。

特に異議申し立ての局面においては、被害者が訴える症状と最初に自賠責保険会社に提出された資料と比較し、上記のそれぞれの要素の意味付けを念頭に置いて、出すことができない資料、説明できない事情がないかという観点から資料を作成していくことが重要です。

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