まずは介護タクシーはどのような法律が根拠になって「介護タクシー」と呼ばれているのでしょうか。
これは基本的には、道路上での運送について規定している「道路運送法」が根拠となっています。そして、介護タクシーの場合は、道路運送法4条で規定している「一般乗用旅客自動車運送事業」に該当することになります。
この条文では、介護タクシーの事業運営をするには、国土交通大臣の許可が必要とされています。
以下、介護タクシーの許可を得るにあたっての要件について、概要を解説いたします。
介護タクシー業を申請する場合
介護タクシーを開業する場合の要件は以下のようになっています。許可申請に対する標準処理期間は2か月程度となっていますが、書類の差し替えなどがあった場合には許可までの期間が延び、実際に運輸開始できるまで半年~1年程度かかるケースもあります。
車両関係
車両についてですが、事業用自動車つまりタクシーでなければならず、事業用自動車として必要な性能を備えていなければなりません。性能については「道路運送車両の保安基準」に定められています。
保有車両数については運輸支局の基準で定められています。法人タクシーの場合、地域ごとに最低車両数が定められていますが、介護タクシーについては、1両から始めることができます。
なお、介護福祉士などの有資格者が乗務する場合であれば、セダン型の自動車を使用することができます。
運転者
介護タクシーの運転者は、普通自動車二種免許を取得している者でなければなりません。 ただし、これだけではタクシーの乗降介助や利用者の身体介助を行うことはできません。 送迎だけでなく、介護サービスも提供する場合は、介護職員初任者研修等を受講しているか、介護福祉士などの介護関連の資格を取得していることが必要です。
乗せる旅客の範囲
介護タクシーに乗せることのできる旅客の範囲は、「介護保険法」にいう「要介護者」または「要支援者」など、5種類に限られています。
自家用自動車を使用したい場合
介護タクシーの許可を持っている事業者が、事業用自動車ではなく、自家用自動車を用いて福祉輸送を行う場合には特別な許可が必要です。
営業区域
営業が許可される区域は、都道府県単位になります。
法令試験
一般乗用旅客自動車運送事業の福祉輸送についての法令試験は課される地域と、課されていない地域があります。
介護(福祉)タクシー事業の主な審査(許可)要件
介護(福祉)タクシーは、何らかのハンデを負っている人たちが利用します。そのため、許可を得るための審査要件は、質・量ともに厳しくなっています。
車両について
まず、利用者を搭乗させる車両についての審査要件は次ようになっています。
車両数
車両数は、1営業所あたり1両以上とされています。つまり、1営業所だけで開業する場合は、1両から始めることができます。
事業用自動車であること
いわゆるタクシーとして、一定の性能を備えなければなりません。もし、運賃について距離制を採用する場合は、通常のタクシーのように、タクシーメーターを装備することが必要です。
また、当然ながら、その自動車を申請者が使用できる法的権原がなければなりません。車検証(自己所有の場合)、売買契約書のコピー(所有予定の場合)、リース契約書または賃貸借契約書のコピー(貸借使用の場合)によって証明します。
装備と乗務員
リフトや回転シートなど、乗降のための特別な装備を設置している自動車を使用する場合は、介護福祉士、訪問看護員、サービス介助士、ケア輸送サービス従事者研修または福祉タクシー乗務員研修を修了した者が乗務するように努めなければなりません。
なお、介護福祉士、訪問介護員、居宅介護従事者、ケア輸送サービス従事者研修を修了した者が乗務していれば、セダン型などの一般車両を使用することもできます。
介護タクシー開業についてはご相談ください
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営業所について
営業所については、安定して使用できることが求められます。
まず、土地・建物については、3年以上の使用権原がなければなりません。これは、登記事項証明書(自己所有の場合)、賃貸借契約書か使用承諾書(賃借の場合)のコピーによって証明します。
さらに、営業区域内に所在し、規模も適切なものでなければなりません。また、適切な規模であれば、自宅で営業所を兼ねることができます。
なお、当然のことですが、建築基準法、消防法、農地法、都市計画法に触れないようにしなければなりません。
車庫について
車庫については、原則として、営業所との併設が望まれています。ただし、現住所で開業する場合の都合などもあるので、併設は絶対ではなく、営業所から直線距離2㎞以内で、十分に管理が可能な場所であれば設置可能です。
そして、所有、賃貸ともに3年以上の使用権原がなければなりません。広さについては、点検をするために必要な広さが要求されています。前面道路については、事業用自動車の出入りに支障がないこと、車道の幅員は車両についての制限を規定する車両制限令に触れないことを証明する必要があります。なお、車庫についても、営業所と同様に、建築基準法、消防法、都市計画法、農地法に抵触しないように注意しなければなりません。
旅客について
一般のタクシーとは異なって、以下のように旅客となる対象は限定されています。
- 介護保険法にいう要介護者または要支援者
- 身体障害者福祉法にいう身体障害者
- 上記の2つ以外に、肢体不自由、内部障害、精神障害、知的障害などによって、単独で移動が困難で単独で公共交通機関を利用することが困難な者
- 消防機関などを介して搬送サービスの提供を受ける者
- 以上の旅客の付添人
休憩や仮眠または睡眠のための施設について
休憩や睡眠をとるための施設は、営業所か車庫に併設されているのが原則です。ただし、営業所と車庫の双方から2㎞以内であれば、併設されていなくてもかまいません。また、他の用途に使用されている部分と明確に区画されており、しかも、事業計画に照らして、運転者が常に使用することができることが必要です。
さらに、3年以上の使用権原があって、建築基準法、消防法、都市計画法、農地法に抵触していないことも条件になっています。
運行管理体制について
事業計画の遂行に必要な員数(人数)だけ、2種免許などの資格を有する運転者を確保します。
営業所と車庫が離れている場合は、連絡を密にとれる体制を整備し、点呼などが確実に実施される体制を確保することが必要です。
また、事故防止、指導教育、事故処理体制の確立も必要です。
資金計画について
安定した経営基盤があるかどうかについても、審査の対象とされています。つまり、資金計画がしっかりと立てられていることが必要です。資金は「所要資金」と「事業開始当初に要する資金」に分けられます。そして、「所要資金の合計額の50%以上」、なおかつ、「事業開始当初に要する資金の100%以上」の自己資金を、申請日以降、常に確保されていることが要求されます。
所要資金と事業開始当初に要する資金の内容は、それぞれ以下のようになっています。
所要資金
営業所や車庫関係
営業所や車庫を設置する土地・建物にかかる費用です。新しく購入する場合はその取得価格、賃貸の場合は敷金なども含めた賃貸にかかる1年分の費用です。土地を新規購入する場合は、未払い金も算入します。建物を新築する場合は、平方メートルあたりの標準単価に面積をかけた金額です。
車両関係
車両自体については、取得価格(割賦未払い金と自動車取得税も含む)または1年分のリース料です。ただし、すでに取得していれば、取得価格より除きます。
他に、車両にかかる税金、保険料(自賠責保険と任意保険の保険料1年分)、機械・什器などにかかる費用も含まれます。
運転資金
法定の福利費と厚生福利費を含んだ人件費、燃料費、車両の修繕費、油脂費の2か月分を用意します。
保険料など
車両にかかる保険料の1年分を計上することが必要です。
その他の創業費など
その他、広告費、諸雑費といった創業費なども用意します。
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開業開始当初に要する資金
次のように算出します。
土地・建物費
一括購入の場合は全額で、賃貸の場合は2か月分の賃料と敷金・礼金などです。
車両費
一括購入の場合は全額、分割払いやリースの場合は2か月分です。ただし、すでに所有している場合は算入しません。
その他
その他、税金、保険料、機械・什器費、運転資金、創業費などはすべて、所要資金と同じ金額となります。
法令遵守について
法令遵守のために、以下の各要件を満たしていなければなりません。
- 法人申請の場合、常勤役員が、一般乗用旅客自動車運送事業の遂行に必要な法令の知識を有していること
- 社会保険、労働保険(健康保険法、厚生年金保険法、労働者災害補償保険法、雇用保険法)に関する法令に基づく社会・労働保険等加入義務者が社会・労働保険に加入していること。
- 平成13年11月22日付け関東運輸局長公示「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く)の許可申請の審査基準についての10.(3)(イ)~(リ)の規定に抵触していないこと。
- 道路運送法第7条各号に該当していないこと
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国土交通省中部運輸局 https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/
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