【三重県の社労士が解説】自動車整備業の離職率改善への取り組み

元自動車整備士の社労士が、自動車整備業の離職率改善について解説します。人を新たに採用するコストは1人あたり約100万円かかると言われています。そして、募集をかけても特に自動車整備士の求人に応募してくる人はなかなかいないのが現状です。そのためにも離職率改善について解説をしていきます。

目次

退職者の退職原因を探る

辞めていく人のほとんどの場合、退職理由は1つとは限りません。会社によっても大きく変わります。さらには営業スタッフならではの理由、整備士・板金塗装工ならではの理由もあります。

では、どうすれば退職理由を把握できるのかですが、シンプルで確実なのは、「従業員が辞める時に聞く」ことです。

なかなか取り組みにくいものですが、会社の将来にはきっと役立つはずです。ただ、経営者が対応するとなれば、心情的に聞きにくいでしょうし、さらに従業員も本心は言いづらいでしょう。

そこで、仲の良かった従業員に聞いてもらい、後で報告してもらうという方法もあります。もっとも、この取り組みをするまでもなく一部の従業員が本当の退職理由を知っているケースも数多くあります。

経営者と従業員の風通しを良くして、ぜひ取り組んでいただきたいことの1つです。

従業員の満足度を向上させる

同じ業種でも従業員の入れ替わりが激しく常に人手が足りない会社がある一方で、退職者がほぼいないうえに声をかければすぐに人を集められる会社もあります。同じ仕事なのに、この差はいったいどこにあるのかを、考えてみると「どれだけ会社が従業員を大事にしているか」。そして、この意識と行動が本人に伝わっているかどうかだと思います。

ここで、ある自動車ディーラーの取り組みをご紹介します。

このディーラーでは、従業員の残業時間を減らすため、これまで行っていた「納引き」サービスを減らす取り組みを始めました。「納引き」とは、車検や修理依頼のあったユーザーのもとへ自動車を引き取りに出向いたり、後日納車したりする「納車・引き取り」というサービスのことです。ほとんどの場合、整備士2名が行動し1時間程度の時間を必要とします。忙しい時にはそのまま残業時間に繋がったりもします。

そんな「納引き」を減少させるために、同社では約3万5000人の顧客あてに来店協力を求める手紙を送ったところ、県内11店舗で約50%だった納引き率が1%台に激減しました。他の対策も相まって月平均残業時間は29時間から7.6時間に減少し、残業代が減った分は別に手当を支給したところ、従業員からの評判も上々のようです。

従業員の働きやすい環境を優先するか、顧客サービスを優先するか悩ましい問題ですが、働く人がいなければ会社は成り立たないという点をじっくりと考えて判断していただきたいです。

このような働き方改革を進めるには、会社が先頭に立って取り組むことも重要ですが、それ以上に求められるのは従業員からの信頼を得られることだと思います。

例えば、営業と工場の連携に問題があったが改善に協力的だった、困った従業員に対しても前面に出て話し合ってくれた、クレーマーまがいのユーザーとやり取りしているときにしっかり対応してくれたなどです。

日々のこうした取り組みによって従業員の不満を取り除くことができ、また会社への信頼もグッと増します。結果として誰も辞めずに人手不足とは無縁という組織に近づいていくことができると思います。

お問い合わせはこちら

TEL 059-253-7166

平日 9:00~18:00

20代の若者に合わせた指導を行う

会社の将来には、これからを担う20代の若者の力が欠かせません。ただ、「ゆとり世代」と呼ばれる彼らとの接し方に頭を抱えている経営者も多く、内に秘めた彼らなりの考え方や思いを自ら発信することは稀なため、それに合わせた対応ができず早期離職が発生しているようです、

20代前半の若者を採用したが1か月も持たずに退職した、といった話がよく聞かれますが、単に”若者だからしょうがない”で終わらせず、改善策を講じる必要があります。そして、彼らの特徴に合わせた指導も必要です。

「広い視野」を持てるように仕事を与える

「若い者は言われたことしかしない」と感じることはないでしょうか。20歳代の若者に限ったことではありませんが、会社としては、「自ら積極的に仕事を見つけて行動して欲しい」と考えるものです。

行動を起こすために重要なのは、「広い視野」です。これは、多くの経験をすることによって養われていくものです。クルマ屋さんの営業スタッフであれば、販売業務だけではなく、整備や板金・塗装、洗車や事務作業といった他部署の経験を積むと良いでしょう。手が空いているときに手伝う程度でも効果はあります。

人員的に余裕がなく難しいのであれば、少なくとも他部署の従業員とコミュニケーションをとって欲しいと考えます。他部署の従業員の作業方法や考え方を知ることにより、クルマ屋さんという会社の全体像が見えてくることでしょう。

そうすれば、言われたことだけでなく、手が空いた時には何をすればいいのか、販売台数を増やすには何が必要なのか、プラスαの行動が芽生えてきます。

根拠を示して指導する

仕事のひとつひとつには目的があり、根拠があります。なぜその仕事をする必要があるのか、若者はその根拠を大切にする傾向があると言われています。それを理解しないままだと、指示された仕事も最低限しかこなせず、さらには身も入りません。

ベテラン従業員なら感覚的に根拠を見出せても、社会人経験の少ない若者にはまだその力量はなく、上司が直接言葉で伝えなければなりません。

整備作業で例を挙げると、タイヤ装着の際、「ホイールナットをエアーインパクトレンチの最小”1”で軽く締めた後、手作業でトルクレンチを使って増し締めする」という手順が必要なのですが、経験の浅い若者には、手順だけではなくなぜエアーインパクトレンチ最大”6”で締めてはダメなのか、その理由まで説明する必要があります。

これは、販売、総務、板金・塗装においても同様です。上司にとっては一手間増えることになりますが、新人には良い経験の積み重ねとなり、慣れてくれば根拠や意味を自身で考えられるようになるでしょう。結果、若者の早期離職を防ぐだけでなく考える力が養われ、20代ならではのアイデアや企画提案が生み出されるといった効果に繋がることもあります。

ほめて能力を発揮させる

経営者や上司には色々なタイプの人がいます。厳しく指導する人、ほめて教育する人などそれぞれですが、概してうまくいっているのは後者でしょう。人は誰しも「ほめられたい」「認めてもらいたい」という思いがあります。

若者は得てしてその傾向が強く、否定されるとモチベーションが一気に下がってしまう傾向がある反面、ほめられるといつも以上に力を発揮します。特徴的な部分であると言えます。

つまり、若者に指導する際は「褒めること」「認めること」を中心にしつつ、必要なときは分かりやすく注意するといった指導が必要です。

お問い合わせはこちら

TEL 059-253-7166

平日 9:00~18:00

対応地域(三重県全域)

三重県

  • 津市 / 四日市市 / 伊勢市 / 松阪市 / 桑名市 / 鈴鹿市
  • 名張市 / 尾鷲市 / 亀山市 / 鳥羽市 / 熊野市 / いなべ市
  • 木曽岬町 / 東員町 / 菰野町 / 朝日町 / 川越町 / 多気町
  • 明和町 / 大台町 / 玉城町 / 度会町 / 大紀町 / 南伊勢町

三重労働局 https://jsite.mhlw.go.jp/mie-roudoukyoku/home.html

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次