年金事務所による総合調査は、社会保険に加入しているすべての事業所に対して公平に行われ、地域にもよりますが、おおむね5年前後に1度の割合で行われます。
この調査は、毎年7月に実施されている社会保険の算定手続(4月、5月、6月支給の給与を元に9月以降の社会保険料を確定させる手続)の申請時に行われるケースもあれば、突然年金事務所から封書で「社会保険総合調査について」などといった標題の文書で通知されることもありますが、文書通知により行われる方法が一般的です。
総合調査ではどういったことが調査されるか
調査では、社会保険の適用状況・手続状況などを全てにわたって多角的に確認されることになります。基本的には社会保険の加入状況の確認が中心となりますが、それ以外であっても傷病手当金や出産手当金などの各種手続きについて誤りがないかなど、各種資料に基づいて調査が行われます。
社会保険に加入すべき職員が適正に社会保険に加入しているか
社会保険に加入しなければならない職員とは、法律上定められており、この基準は通常の正職員の勤務と比較して概ね4分の3以上の勤務をしている職員とされています。そのため、通常の正職員の労働時間が週40時間であると仮定すれば、その4分の3以上ということで、週30時間以上の勤務者についてはパートタイマーであったとしても加入義務が発生することになります。
年金事務所による総合調査では、正職員が適正に社会保険に加入しているかどうかの確認はもちろんのこと、パートタイマーであったとしても正職員と比べて4分の3以上勤務をしている場合には加入義務が発生するため、加入させるか否かといったところを重点的に確認されることになります。
この調査において、本来は社会保険に加入しなければならない職員が加入をしていなければ、入職日に遡って、あるいは正職員と比べて4分の3以上の勤務になった日に遡って、最大2年間遡及しなければならないことになり、社会保険料が期間分追徴されることになります。この追徴の社会保険料は、本人負担分と事業主負担を合わせた金額で追徴され、事業主は本人分をいったん立て替えなければならないことになります。
現実的には例えば、1か月の本人負担の保険料が仮に2万円だったとすると、2年間の場合は48万円の徴収が必要となるため、職員の抵抗を受けることが少なくありません。
仮に、無理に徴収を求めると、あまりの負担増を嫌い退職してしまい、本人立替分が回収できないと言ったリスクを抱えることになりますし、本人に責任がない状態でいくらか遡って徴収する旨を伝えると、職場に対する不信感が高まり、モチベーションを維持できなくなってしまうこともあります。こうした事態にならないように、そもそも適正に加入すべき職員については、加入させる必要があります。
なお、時折、手取りの減少を嫌い、職員自身から社会保険に加入したくないと言った申出をするケースがありますが、法定要件を満たす場合には、本人希望がどうであれ加入させなければなりません。
社会保険に加入すべき職員が適正な時期に加入をしているか
社会保険の総合調査では、加入の有無だけでなく、加入期間が適正であるか否かについても、勤怠管理資料であるタイムカードや賃金台帳により確認されます。
医療機関の中には、採用後、試用期間を設けて、その試用期間中にはいつ退職するか分からないから社会保険に加入させないというケースがありますが、期間雇用ではなく常勤の正職員として採用したのであれば、試用期間開始の時期から加入させなければなりません。
そのため、こうした加入期間が適切か否かということをタイムカードなどの勤怠が分かる資料などを元に確認をし、加入時期が適切ではない場合には加入時期に遡って加入手続をすることが求められます。この場合においても、社会保険料の徴収という問題が発生しますから、注意が必要です。
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社会保険に加入している職員が、定められた社会保険等級にて加入をしているか
社会保険の保険料については、毎月給与の一定割合といった方法ではなく、給与額に基づいてあらかじめ定められた等級(健康保険では50等級、厚生年金保険では32等級)があり、例えば毎月20万円前後の給与であれば、健康保険は17等級、厚生年金保険は14等級(給与額が19万5千円~21万円)に位置づけられ、その等級で定められた保険料を徴収することになります。
この等級は入職時に決定し、大幅な昇給・降給がなければ1年間その等級によって保険料を徴収することになり、毎年7月に9月以降の社会保険料を決定させる手続きをします。
社会保険の総合調査では、給与から控除している保険料が本来その職員が位置づけられる等級に基づいた保険料と一致しているか否かということが確認されることになります。社会保険料を安く抑制するためにごまかして年金事務所に申請するケースもあり、こうした不正を防止する意味でも、社会保険に加入している職員が定められた社会保険等級に基づいて社会保険料を控除しているのかといった点も細かく確認されることになります。
入職時の社会保険料の給与見込額に誤りがないか
社会保険料の決定にあたっては、まず職員が入職した時点でその職員がどのくらいの給与をもらうのかといったことを年金事務所に申請し、その申請した額により社会保険料の等級が決定され、等級に基づいた社会保険料が徴収されることになります。
この申請する給与額には、基本給や諸手当などの固定的に支払われる賃金のほか、時間外労働を行ったとみなした残業代なども見込みで給与額に入れて申請をしなければなりませんが、あくまでも見込みであることから、中には時間外労働はほとんどないと申請をしておいて、社会保険料を安く抑えようとする事業主も存在します。
そのため、社会保険の総合調査では、こうした不正を防止したり、あるいは入職時の賃金の考え方に誤りがないかを確認するために、入職時の給与見込額と申請時の社会保険等級に誤りがないかを確認されることになります。
社会保険の保険料算定にあたっての給与とは
給与(報酬)に該当するもの | 給与(報酬)に該当しないもの |
基本給、諸手当(残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当、勤務手当、宿直手当、日直手当、皆勤手当 など) | 見舞金、出張旅費交通費、交際費 など |
賞与支払届が提出されているか
平成15年4月から総報酬制が導入され、夏季または冬季の賞与においても、毎月の保険料と同率の保険料率によって社会保険料が徴収されるようになりました。この徴収にあたっては、賞与支給日から5日以内に「賞与支払届」という書式を年金事務所に提出する必要があり、この提出においては各職員に具体的に支給された賞与額が記載されることになります。
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