【三重県の社労士が解説】クリニックにおける望ましい組織体制

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クリニックの望ましい組織体制

クリニックの場合は、院長先生を頂点にして、その下に事務部門や看護部門などの部門を統括するために、部門にリーダーを配置して組織を形成するケースが多いです。

しかし、職員数が10人にも満たない場合には、院長を頂点にして部門リーダーなどを設けることなくすべての職員が並列状態となっていることがよくあります。この方法は、平等といった観点から捉えると職員さんの不満は出難くなりますが、院長先生自身が全ての職員さんに平等に目を向けてコミュニケーションを取らなければならないといった煩わしさが発生したり、良くも悪くもさまざまなことが院長先生にダイレクトに入ってくるため、診療に集中できなくなってしまうこともあります。

確かに、職員さんとのコミュニケーションを図ることは、組織を円滑化するにあたっては重要なことです。しかし、現実的に継続して職員さんとコミュニケーションを取り続けて行くことは、患者数が多い日が続いたりすると難しくなってしまうこともあります。そういったことを考えると、院長先生と職員さんのコミュニケーションの繋ぎをしてくれる職員さんとして誰かを任命し、多忙なときはその職員さんを通じてコミュニケーションを図っていく必要があります。

また、コミュニケーションを補完する意味で、院長先生と職員さんとの間で「連絡ノート」を作成し、1日の業務内容や気付いたことなどを職員さんが毎日記入し、院長先生が必ず何らかのコメントを付けて返すといった方法を取り入れることも考えて行っても良いかも知れません。

一方で、ある程度の規模のクリニックや病院においては、それぞれの部門ごとにリーダーを配置して、何かあった際にはそのリーダーを通じて伝達等を行うことが一般的ですが「事務部門」「看護部門」「リハビリ部門」など複数の部門があり、組織内に複数のリーダーを配置する際には、部門内の縦の連携のみでなく、部門を横断する横の連携も強化していく必要があります。

そういった点では、職員ミーティングの開催や委員会活動などが効果的です。これらの職員ミーティングや委員会についても、発言力のある職員さんによって意見が左右されないように、入職1年未満のクラス、中堅クラスなどといった勤続年数や経験年数に応じて職員さんを選出するとより活発な意見が出る可能性もあり、風土改善に繋げる意味でも少なからず効果はあります。

また、組織ということを考えれば、パートタイマー職員さんの存在も忘れてはなりません。パートタイマー職員さんのなかには正職員さん以上に働いてくれる人もいて、組織においては貴重な存在となります。その方たちに疎外感を与えないためにも、職員ミーティングや委員会に勤務や家庭の都合上参加することができない場合を想定し、必ず議事録を作成して、それを全職員さんに回覧するなどの方法を採り入れたほうが良いでしょう

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クリニックの派閥の解消

多くの医療機関では、職員さんの大半を女性が占めており、またさまざまな年齢層によって組織が構成されています。そうした組織内においては、考え方などを同じくするグループが複数できるようになることが多く、それがやがては派閥となることがあります。こうした派閥が形成されると、派閥間で確執が生じ、情報が十分に伝わらなくなったり、業務の連携が実施し難くなったりといったデメリットが生じることになり、最終的には来院する患者さんに迷惑を掛けてしまうことになります。

そのため多くの院長先生や事務長さんはいかに派閥を解消し、業務を円滑に進めるのかということを常に考えていますが、職員さんに女性が占める割合が高ければ高いほど発言などに遠慮がみられ、派閥が次第に肥大化してしまうこともあります。

こうした派閥解消では、職員さんを多能工のように育てるといった信念のもとで、看護職員さんも看護の補助業務を行うことでお互いの部門を知る取り組みをしたところ、コミュニケーションが充実するようになり、派閥が解消されるといったケースがあります。

また、別の医療機関では、派閥同士を敵視しないように、常に院長先生と事務長さんが「近隣の○○クリニックがライバルである」と公言することによって、組織内の小グループの派閥を一つにし、クリニック全体を派閥化させました。そうすることにより、職員さんは「○○クリニックよりも満足度の高いサービスを行うためにはどうしたらよいか」などといったことを全体で考えるようになり、次第に部門間同志の確執もなくなりました。

いずれの方法であっても、小規模組織における派閥は、百害あって一利なしですから、何らかの方法によって解消していく必要があります。

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クリニックの事務長の役割

職員数が増加し、その数が数十名を超える規模になると、人事労務の問題もますます複雑化してきます。職員数が従来の2倍になれば、人事労務の問題や対応すべき時間は単純に2倍ではなく3倍とも4倍ともかかるようになり、院長先生自身が診療行為の傍ら事務長業務を兼任することが現実的に難しくなってきます。

そうなると、常勤か非常勤かを問わず事務長さんを確保しなければならなくなりますが、事務長さんの雇用にあたっては、あらかじめどういった役割を担ってもらうのかという点を明確にしなければ、職員さんが混乱することがあります。それは、組織内において決定する立場の者が院長先生と事務長さんの2人存在するためであり、また、院長先生と事務長さんとの間においても○○については院長先生が行うのか、事務長さんが行うのかといったことで責任を擦り付け合うことも可能性として十分あるためです。

これを防止するには、院長先生と事務長さんとの役割について、ある程度の目安を定めていっても良いでしょう。なお、当然ながら、例えば役割分担表を作成した際に、自分は担当ではないので何も関与しないということがないように、お互いで意識して取り組む必要があります。

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三重労働局 https://jsite.mhlw.go.jp/mie-roudoukyoku/home.html

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