【三重県の社労士が解説】知的障害の障害年金

知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に持続的な支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるもののことをいいます。

目次

各等級と障害の状態

各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりです。

障害の程度障害の状態
1級知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
2級知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
3級知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの
障害の程度と状態
  • 知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断されます。また、知的障害とその他の認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定されます。
  • 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するように努めるとされています。
  • 就労支援施設や小規模作業所などに参加するものに限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。したがって労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分考慮したうえで日常生活能力を判断することになっています。

知的障害(精神遅滞)

知的障害とは、知的能力の発達が遅れた状態にとどまっている障害のことを指します。このため、社会的な生活への適用行動に問題があり、18歳以前の発達期に障害が現れることが多いです。

知的障害に関しては「国際疾病分類第10版」、アメリカ精神医学会の「精神障害の診断と統計の手引きⅣ」、「アメリカ精神遅滞学会の新定義」などによって、以下のように定義されています。

国際疾病分類第10版(ICD-10)

精神の発達停止、あるいは発達不全の状態であり、発達期に明らかになる全体的な知能水準に寄与する能力、例えば認知、言語、運動および社会的能力の障害によって特徴づけられる。

精神障害の診断と統計の手引きⅣ

精神遅滞とは、明らかに平均以下の知能であり、現在の適応能力の欠陥または不全が、以下のうち2つ以上の領域で18歳未満に現れること。

①意思伝達、②自己管理、③家庭生活、④社会的・対人的技能、⑤地域社会資源の利用、⑥自律性、⑦発揮される学習能力、⑧仕事、⑨余暇、⑩健康と安全

アメリカ精神遅滞学会の新定義(2002年)

精神遅滞とは、知的機能及び概念的・社会的・実践的適応能力で表現される適応能力の著しい制約によって特徴づけられる障害である。原因としては、ダウン症候群などの染色体異常、遺伝性疾患、胎生児や出生時の酸素不足、周産期の脳圧迫などの事故、さらには、養育期の発育環境問題があげられる。

知的障害の程度

・軽度:IQ51~70、精神年齢7~10歳

食事、洗面、着衣など身の回りのことに関しては自立しており、中学レベルの勉強は支障をきたしやすい。未熟練、半熟練の手仕事を含めて自立が可能である。

・中程度:IQ36~50、精神年齢5~8歳未満

身の回りのこと、運動能力の達成が遅れる。基本的な技能を習得するには、訓練や練習が必要。

・重度:IQ21~35、精神年齢3歳未満

基本的な欲求を伝えられるだけの言語機能は持っているが、持続的な介護が必要となる。

・最重度:IQ20以下、精神年齢3歳未満

問いかけの言葉を理解できない程度。動くことが制限され、失禁、常に援助が必要である。

(精神年齢はいずれも成人の場合)

知的障害の認定

認定にあたっては、さまざまな能力が不均等に障害されるため、ある特定の能力や障害によって評価するのではなく、全体的な能力を総合的に評価することが必要とされています。したがってIQもあくまで1つの判断材料であり、その他の身体的合併症、社会適応力、労働能力、日常生活動作などを含めた評価が行われます。

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