【三重県の社労士が解説】精神の病気の障害認定基準・要領

精神の病気に対して支給される障害年金の、認定基準・要領はどのように定められているのかをご紹介します。

目次

障害年金認定基準「精神の障害」

精神の障害については次のとおりです。

令別表障害の程度障害の状態
国年令別表1級精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
国年令別表2級精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められるもの
厚年令別表第13級・精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
・精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
厚年令別表第2障害手当金精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの、及び労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものを3級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものを障害手当金に該当するものと認定する。とされています。

精神の障害は多種であり、かつ、その症状は同一原因であっても多様です。

したがって、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮するとされています。

障害年金認定要領「精神の障害」

精神の障害は、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」(以下「そううつ病」という。)、「症状性を含む器質性精神障害」、「てんかん」、「知的障害」、「発達障害」に区分されます。

症状性を含む器質性精神障害、てんかんであって、妄想、幻覚等のあるものについては、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害」に準じて取り扱われます。

統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害

(1)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりになります。

障害の程度障害の状態
1級1 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の介護が必要なもの
2 そううつ病によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の介護が必要なもの
2級1 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
2 そううつ病によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級1 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚の異常体験があり、労働が制限を受けるもの
2 そううつ病によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

(2)統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害の認定に当たっては、次の点を考慮のうえ慎重に行われます。

  1. 統合失調症は、予後不良の場合もあり、国年令別表・厚年令別表第1に定める障害の状態に該当すると認められるものが多い。しかし、罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、また、その反面急激に憎悪し、その状態を持続することもあります。したがって、統合失調症として認定を行うものに対しては、発病時から療養及び症状の経過を十分考慮します。
  2. そううつ病は、本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものです。したがって、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮します。

(3)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能、特に、知情意面の障害も考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努めるとされています。また、現に仕事に従事している者については、その療養状況を考慮し、その仕事の種類、内容、従事している期間、就労状況及びそれらによる影響も参考とします。

(4)人格障害は、原則として認定の対象とはなりません。

(5)神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象となりません。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又はそううつ病に準じて取り扱われます。

症状性を含む器質性精神障害

(1)症状性を含む器質性精神障害とは、先天異常、頭部外傷、変性疾患、新生物、中枢神経等の器質障害を原因として生じる精神障害に、膠原病や内分泌疾患を含む全身疾患による中枢神経障害等を原因として生じる症状性の精神障害を含むものです。

なお、アルコール、薬物等の精神作用物質の使用による行動の障害(以下「精神作用物質使用による精神障害」という。)についても、ここに含めます。

(2)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりです。

障害の程度障害の状態
1級高度の認知症、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の介護が必要なもの
2級認知症、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級1 認知症、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
2 認知症のため、労働が著しい制限を受けるもの
障害手当金認知症のため、労働が制限を受けるもの

(3)脳の器質障害については、精神障害と神経障害を区分して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能であり、原則としてそれらの諸症状を総合して、全体像から総合的に判断して認定がされます。

(4)精神作用物質使用による精神障害

  1. アルコール、薬物等の精神作用物質の使用により生じる精神障害について認定するものであって、精神病性障害を示さない急性中毒及び明らかな身体依存の見られないものは、認定の対象とはなりません。
  2. 精神作用物質の使用による精神障害は、その原因に留意し、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮します。

(5)器質障害としての巣症状については「神経系統の障害」の認定要領により認定するものとし、その諸症状、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、全体像から総合的に認定します。

(6)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能、特に、知情意面の障害も考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努めるとされています。また、現に仕事に従事している者については、その療養状況を考慮し、その仕事の種類、内容、従事している期間、就労状況及びそれらによる影響も参考にされます。

障害年金についてまずはご相談ください

TEL 059-253-7166

平日 9:00~18:00

てんかん

(1)てんかん発作は、部分発作、全般発作、未分類てんかん発作などに分類されますが、具体的に出現する臨床症状は多彩です。

また、発作頻度に関しても、薬物療法によって完全に消失するものから、難治性てんかんと呼ばれる発作の抑制できないものまで様々です。

さらに、てんかん発作は、その重症度や発作頻度以外に、発作間欠期においても、それに起因する様々な程度の精神神経症や認知障害などが、稀ならず出現することに留意する必要があります。

(2)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりです。

障害の程度障害の状態
1級十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ、常時の介護が必要なもの
2級十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活に著しい制限を受けるもの
3級十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、C又はDが月に1回未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの

(注1)発作のタイプは以下のとおりです。

A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作

B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作

C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作

D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作

(注2)てんかんは、発作と精神神経症状及び認知障害が相まって出現することに留意が必要です。また、精神神経症状及び、認知障害については、前記「症状性を含む器質性精神障害」に準じて認定することとされています。

(3)てんかんの認定にあたっては、その発作の重症度(意識障害の有無、生命の危険性や社会生活での危険性の有無など)や発作頻度に加え、発作間欠期の精神神経症状や認知障害の結果、日常生活動作がどの程度損なわれ、そのためにどのような社会的不利益を被っているのかという、社会的活動能力の損減を重視した観点から認定が行われます。

様々なタイプのてんかん発作が出現し、発作間欠期に精神神経症や認知障害を有する場合には、治療及び病状の経過、日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定されます。

(4)てんかん発作については、抗てんかん薬の服用や、外科的治療によって抑制される場合にあっては、原則として認定の対象にはなりません。

知的障害

(1)知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に持続的な支障が生じるため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるもののことをいいます。

(2)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりです。

障害の程度障害の状態
1級知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で、常時援助を必要とするもの
2級知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
3級知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの

(3)知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断されます。

また、知的障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定が行われます。

(4)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努めるとされています。

(5)就労支援施設や小規模作業所に参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。

したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断することとされています。

障害年金についてまずはご相談ください

TEL 059-253-7166

平日 9:00~18:00

発達障害

(1)発達障害は、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいいます。

(2)発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定が行われます。

また、発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定が行われます。

(3)発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とします。

(4)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりです。

障害の程度障害の状態
1級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
3級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しく制限を受けるもの

(5)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努めるとされています。

(6)就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。

したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断することとされています。

障害年金についてまずはご相談ください

TEL 059-253-7166

平日 9:00~18:00

こちらもご覧ください。
あわせて読みたい
【三重県の社労士がより詳しく解説】精神の病気の障害年金認定基準・要領 【精神の障害年金認定基準について詳しく解説】 認定基準では、精神の障害について次のように認定すると規定されています。 「精神の障害の程度は、その原因、諸症状、...

対応地域(三重県全域)

三重県

  • 津市 / 四日市市 / 伊勢市 / 松阪市 / 桑名市 / 鈴鹿市
  • 名張市 / 尾鷲市 / 亀山市 / 鳥羽市 / 熊野市 / いなべ市
  • 木曽岬町 / 東員町 / 菰野町 / 朝日町 / 川越町 / 多気町
  • 明和町 / 大台町 / 玉城町 / 度会町 / 大紀町 / 南伊勢町

日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次