自動車整備業の給与について、明確な基準が存在しないので「給与はいくらぐらいがいいのか?」といったことに、悩む事業主さんが多いと思います。
まず、参考になるのが厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」。産業別、職種別、都道府県別、年齢別など幅広く網羅されています。ですが、部分的には該当するものの、全項目が当てはまるわけではありません。
また、都道府県によっても大きく異なります。そこで、会社を管轄するハローワークで公開している賃金情報を見るのも良いでしょう。これには、会社所在地のデータが反映されています。ハローワークごとに統計の仕方が異なり、毎月情報が更新されていて、職業別(職業分類表の中分類まで職種別に示しているところもあります)のほかに男女別また年齢別に分けられているケースもあります。
自動車営業スタッフの目安
平成28年賃金構造基本統計調査によれば「自動車外交販売員」の給与は32.9万円。それに対し東京労働局が公開している「販売の職業」(平成30年1月~3月の中途採用)の給与は25.3万円。
職種の範囲や対象地域が異なるため、7.6万円もの差が生じています。やはり統計はあくまで参考程度にとどめ、地域の実情に合った給与水準を把握する必要があります。
最も確実なのは、同業他社から収集した情報やハローワークの求人情報でチェックした情報です。地味な方法ではありますが、多くの情報を集めることができ、精度の高い賃金水準を把握できます。
中途採用者については、本人の能力や経験をどのように反映するかも考える必要があります。経歴換算表があればそれを用いますが、ない場合の目安は、「給与の2倍稼げるか」。例えば、給与が25万円であれば販売利益で50万円をクリアできるかということです。
これは、人件費には、給与のほかに会社負担の社会保険料や事務スタッフの人件費、家賃等として、給与と同じくらいの金額がかかると一般的に言われていることからきています。しかし、販売が事業のメインで依存傾向が強い会社であれば、2倍では足りず3~4倍売らなければ会社に利益が残らないかも知れません。
販売には波があり難しい部分もありますが、地域相場をベースにしつつ、過去実績を反映させながら決める方法も、一案と言えることでしょう。
自動車整備士・板金・塗装工の目安
整備士・板金・塗装工(以下、「整備士等」という)も、能力を反映する部分は重要です。仮に給与の2倍の利益を目安とした場合、車検を何台こなせばよいのか、分かりやすく車検台数で考えてみましょう。車検1台当たりの利益を4万円、給与を20万円と仮定すると、少なくとも1カ月に10台こなせる能力があるかどうかが目安となります。板金・塗装工も同様に考えます。
整備士等は、本人の能力によって作業スピードが大きく異なります。整備士として同じ10年の経験があっても、Aさんであれば2時間で終わる作業にBさんは4時間かかるというケースも少なくありません。
作業スピードの目安となるのが、一般社団法人日本自動車整備振興連合会より発行されている「自動車整備標準作業点数表」(以下、「整備点数表」という)です。
請求書に記載されている整備工賃も、「整備点数表」に記載された車種別・作業ごとの時間を参考に作業時間を決定して「レバレート×作業時間」で計算されています。レバレートとは、1時間当たりの工賃のことで会社により5,000~10,000円程度です。なお、板金・塗装の工賃は、「指数対応単価×指数」で算出されます。
重要なのは、「整備点数表」等に記載された時間で実際に作業が終了しているかです。時間内であれば一定の能力を有していると言えますが、常にオーバーしているなら努力の必要があると考えられるでしょう。この点を給与に反映させるのは妥当です。
ベストなのは入社時点に本人から詳しく聞き取りをして給与に反映することですが、難しいようなら昇給・賞与に反映させるのも一案でしょう。
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総務・経理の目安
東京労働局が公開している「職業別 中途採用者採用時賃金情報」(平成30年1月~3月の中途採用)では「事務的職業」の給与は31.4万円。この金額は全年齢を集計した値ですが、5歳ごとの年齢別でも採用時賃金が記載されているため、こちらは目安として有効であると言えます。
難しいのは、やはり知識や作業効率、接客能力といった人によって異なる部分をどういう基準で給与に反映させるかです。シンプルな経歴換算表を作成し、それに則って決定するのが比較的良いのではないでしょうか。
書式は問わず、経営者の考えを書面に落とし込むといったイメージで作成すると、シンプルで使いやすいものが完成すると思います。
自動車小売業に適用される「特定」最低賃金
地域別最低賃金(以下、「地域最賃」という)は広く知られていますが、地域最賃よりも高くする必要があると認められた場合に決定される「特定(産業別)最低賃金」(以下、「特定最賃」という)というものもあります。金額は当然のことながら、対象となる産業も都道府県によって異なります。
自動車小売業も地域によってこの特定最賃が採用されています。
ただ、自動車小売業で働く労働者すべてに適用されるかというとそうでもなく、適用が除外されるケースがあります。
- 18歳未満または65歳以上の労働者
- 雇い入れ後3ヶ月未満であって技能実習中の労働者
- 清掃、片付け、洗車または賄いの業務を主として従事する労働者
つまり、入社後間もない研修中の方や、納車時の清掃・洗車業務がメインの方には適用されず、地域最賃が適用されます。
なお、特定最賃については都道府県によって異なる部分が見られます。詳細を知りたい場合は、各都道府県に設置された労働局もしくは最寄りの労働基準監督署へお問い合わせください。
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