脊椎の障害の認定基準
脊椎の障害には変形と運動障害があります。変形障害についてはあまり問題になることはなく、運動障害について被害者と自賠責・加害者側の主張が食い違うことが多いので、その原因を解説します。
自賠責保険における後遺障害の等級認定は労災補償の認定基準によって行われています。その労災補償の認定基準では、脊椎の運動障害について以下のように規定されています。
6級の著しい運動障害認定の要件
頸部および胸腰部が硬直した状態で次の3つのいずれかに該当する必要があります。
- 頸椎および胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等が存していることがX線写真等により確認できるもの
- 頸椎および胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの
- 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
8級の運動障害認定の要件
頸部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されたものが該当しますが、以下のいずれかに該当する必要があります。
- X線写真等によって頸椎又は胸腰椎に脊椎圧迫骨折等が確認できる場合
- 頸椎又は胸腰椎に脊椎固定術が行われた場合
- 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められる場合
なお、「頭蓋、上位頸椎間に著しい異常可動性が生じたもの」も8級に該当する脊柱運動障害とされています。
重要な運動制限の原因の立証
上記のような器質的な異常状態が確認できる場合は後遺障害としての認定を受けることになります。
脊柱の運動障害をめぐって紛争を生ずるのはこのような原因が明らかでない場合です。そのような場合に原因として考えられるのは、疼痛などにより被害者が脊椎を動かせないことです。しかし、前記認定基準では、「エックス線写真等では、脊椎圧迫骨折等又は脊椎固定術が認められず、また、項背腰部軟部組織の器質的変化も認められず、単に、疼痛のために運動障害を残すものは、局部の神経症状として等級を認定する」としています。すなはち、このような場合は、脊椎の運動障害とは認められないことを明示しているわけです。
したがって、後遺障害認定を受けるには、前述のような器質的原因があることを明らかにする必要があるわけです。なお、認定基準の表現では、「強直」、「可動域が参考運動可動域角度の2分の1以下に制限」などの条件が求められています。脊椎の固定術などの異常所見はX線写真で客観的評価ができますから、このような所見があるのに、程度の軽い障害等級の認定が行われる場合は、画像所見等で認識できる程度で、障害認定基準の要件を満たすような影響が出てもおかしくないと見るのか、そのような重い影響が出るとは考えられないと見るのかの見解の相違ということになります。
そのため運動に影響が大きく出ると考えられる根拠を具体的に示すことが効果的といえます。医師に具体的状態を詳細に証明してもらう必要があります。
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疼痛による運動制限
前述のように疼痛が運動制限の原因となっている場合は、12級ないしは14級の神経系統の障害として認定される可能性があります。しかし、疼痛の原因が証明されるか、あるいは医学的に説明がつくかという条件を満たす必要があります。運動制限があれば、認定を受けられるわけではないので注意が必要です。
こちらもご覧ください。
脊椎の変形障害
最近の障害認定基準の改定により、変形障害の認定要件が明確化されました。基本的には、後彎(前後の椎体の高さが異なって側面から眺めた場合に脊柱が曲がっている状態)と側彎(前あるいは後ろ方向から眺めて脊柱が曲がっている状態)の程度の組み合わせで分類します。
後遺障害等級表では、「せき柱に著しい変形を残すもの」は6級、「せき柱に変形を残すもの」が11級とされていますが、その中間の状態として、「せき柱に中程度の変形を残すもの」の認定基準も定められ、これは8級として認定されます。これは、自賠責保険の場合は自賠法施行令別表備考に基づく「相当等級」を認定することで行われます。
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