むち打ちで後遺障害認定を受けるためのポイントは次の4つです。
- 整形外科への通院間隔は1週間に2~3回の間隔で通院する
- 通院期間は6カ月以上通院する
- 自覚症状は通院当初からしっかりと医師に伝える
- 事故直後に痛みを感じる箇所(首や腰)のMRIを撮っておく
神経系統(むち打ち)の障害の認定基準
いわゆる、むち打ちとは頸部の損傷に伴って生じる痛み、しびれ、知覚障害、めまいなどの様々な症状が出るもののことを言います。骨折などのように、外部から見て、どこが悪いのか明らかでないことが多いため、その程度の評価がとても難しいです。
このような場合、体のどの部分が機能しなくなっていると断定するのは難しいので、自賠責保険の後遺障害等級認定実務では、12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」か14級9号「局部に神経症状を残すもの」に当たるか、それともこの程度に達しない後遺障害等級「非該当」というように評価されます。
このような表現では抽象的ですから、実務的には、労災補償の認定基準を参考にして判断されています。
しかし、現在の障害認定基準でむち打ちの症状に該当しそうな障害の類型としては、「頭痛」、「失調、めまい及び平衡機能障害」、「疼痛等感覚障害」、「特殊な性状の疼痛」などが考えられますが、通常は、これら類型で的確に評価できることはあまりないようです。
自賠責保険実務では、12級は「障害の存在が医学的に証明できるもの」、言い換えれば「神経系統の障害が存在することが他覚的に証明できるもの」がこれに該当するものとされています。
また、14級は「障害の存在が医学的に説明可能なもの」が該当するという判断基準に基づいて運用されています。
また、労災補償の認定基準では、「回復困難」であることと、「労働能力の喪失を伴う」ことを後遺障害と認定するための大前提としていますので、自賠責保険の実務でも、このような観点から絞りがかけられています。
むち打ちでの後遺障害はまずはご相談ください
TEL 059-253-7166
平日 9:00~18:00
むち打ちで自覚症状しかない場合の等級評価
医師の目から見て、なんらの異常がないのに、被害者が体の不具合を訴える場合、すなはち自覚症状しかない場合、自賠責保険の実務では、等級非該当とされることが多いです。
なぜなら、頚椎ねんざ等、通常は完全に回復しておかしくない傷病名しかつかないのに、被害者の訴えるような症状がなくならないで残ることは医学的に説明可能とは言えないからです。
自覚症状が医学的に説明可能というためには、やはり、何らかの身体的異常状態があり、それが原因となっているとすると、被害者の訴えている症状と合致することが必要です。
例えば、頚椎の異常状態があり、その神経支配領域と症状を訴えている部分が一致するなどの場合です。
よく、むち打ちの被害者が、広範な身体部位の症状を訴えることがありますが、このような場合は、異常個所があっても、そのせいではないということになってしまい、かえって医学的説明のつかない症状と判断されることが多いです。
むち打ちで他覚的異常所見がある場合
他覚的異常所見といっても、いろいろなタイプがあります。まず身体の形状的異常がはっきりしている場合です。頚椎間が狭くなっている、頚椎から神経が出入りする椎間孔が狭くなっている、あるいは、椎間板が膨隆したり、脊柱管が狭くなっているといった状態です。
また、神経学的検査所見で異常反応がみられる場合があります。頚椎圧迫検査(ジャクソンテスト、スパーリングテストなど)や知覚検査による異常所見、腱反射異常、圧痛点の存在などです。
では、これらの異常があれば直ちに神経系統の障害が他覚的に証明できたということになるかというと、自賠責保険の実務では必ずしもそうなってはいません。
これらの他覚的所見と自覚症状を総合して、神経の障害が存在すると判断できることが必要です。例えば、椎間板の変性や椎体間の狭小化があるため、神経の圧迫が生じていると推定され、その圧迫状態を裏付ける検査所見などが存在するという場合です。
すなはち、外部から認識できる異常状態をもとに、神経機能が損なわれており、それが一過性のものではないと判断することができる必要があります。
このように、神経の障害があると判断できるまでにいかない場合は、症状の説明がつけば14級という可能性がありますが、合理的説明がつかなければ、等級非該当ということになります。
もちろん、自賠責保険の後遺障害等級認定の要件としてこのような基準が定められているわけではありませんから、症状を発生させている原因が明確に証明されなくとも、かなりの影響の出る神経症状が存在していることが認定されれば12級の認定がされる可能性はあります。
自賠責保険の実務ではこのような運用のされ方をしているということを念頭において対応する必要があります。
既存障害と等級認定
むち打ち症に限って言えば、頚椎や椎間板の変性が事故以前から存在しており、それに事故による衝撃が加わって症状が発生したと思われる場合がよくあります。しかしながらこのような場合、自賠責保険の手続では、発生原因が被害者にもともと存在していた異常状態の結果であるので、事故との因果関係が不明として、後遺障害認定に当たり消極的な判断がなされることが多いです。
このような場合は、カルテの記載等をもとに身体状況の変化や検査所見の推移を明確にして、事故直後からこの身体異常を原因とする症状が発生し残存しているのだという点を明確にすることが良いでしょう。
当事務所では、
当事務所では、交通事故被害者の方が、今回のようなむち打ちの場合に適正な等級が認定されるよう、後遺障害診断書をチェックしたり、必要な検査などを受けていただくようにアドバイスをさせていただきます。
被害者の方には、まずは一番最初にお伝えした、むち打ちで後遺障害等級認定を受ける4つのポイントを是非行っていただきたいです。
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