【三重県の社労士が解説】代謝疾患(糖尿病など)による障害年金

障害年金の申請は、認定されるために多くの書類の準備が必要になります。ご本人やご家族だけでは難しく、途中であきらめてしまう方もいらっしゃいます。

そのようなときは、障害年金の申請実績が豊富な、当事務所におまかせください。

目次

代謝疾患の認定基準

代謝疾患による障害については、次のように定められています。

令別表障害の程度障害の状態
国年令別表1級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認めらえれる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
国年令別表2級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
厚年令別表第13級身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

※用を弁ずる=仕事をすませる。用事をすませる。

代謝疾患による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療又は症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。

代謝疾患による障害の認定要領

(1)代謝疾患は、糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝の異常に分けられますが、認定の対象となる代謝疾患による障害は糖尿病が圧倒的に多いため、ここでは、糖尿病の基準について書きます。

(2)糖尿病とは、その原因のいかんを問わず、インスリンの作用不足に基づく糖質、脂質、タンパク質の代謝異常によるものであり、その中心をなすものは高血糖です。

糖尿病患者の血糖コントロールの困難な状態が長年にわたると、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性壊疽等の慢性合併症が発症、進展することとなります。

糖尿病の認定は、血糖のコントロール状態そのものの認定もありますが、多くは糖尿病合併症に対する認定です。

(3)糖尿病による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定されます。

(4)糖尿病による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりです。

一般状態区分表

区分一般状態
無症状で社会生活ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

(5)糖尿病については、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロールが困難なもので、次のいずれかに該当するものを3級と認定するとされています。

ただし、検査日より前に90日以上継続して必要なインスリン治療を行っていることについて、確認のできた者に限り、認定を行うものとされます。なお、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定が行われます。

  • 内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値が0.3ng/mL未満を示すもので、かつ一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
  • 意識障害により自己回復ができない重症血糖の所見が平均して月1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
  • インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上であるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

(6)糖尿病性網膜症を合併したものによる障害の程度は、「眼の障害」の認定要領により認定が行われます。

(7)糖尿病性壊疽を合併したもので、運動障害を生じている者は、「肢体の障害」の認定要領により認定が行われます。

(8)糖尿病性神経障害は、激痛、著明な知覚の障害、重度の自律神経症状等があるものは、「神経系統の障害」の認定要領により認定が行われます。

(10)その他の代謝疾患は、合併症の有無及びその程度、治療及び病状の経過、一般検査及び特殊検査の検査成績、認定時の具体的な日常生活状況等を十分考慮して、総合的に認定が行われます。

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代謝と代謝異常について

代謝の仕組み

一般に、生命を維持し成長していくためには、絶えず外界から栄養分を取り入れて、身体に必要な成分を合成するとともに、栄養分や成分を分解してエネルギーを作り出していくことが必要です。こうした仕組みを代謝と呼びます。

代謝に必要な栄養素としては、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、水分などがあり、このうち糖質と脂質は主に体内で分解され、エネルギーの原動力となります。代謝を調節するものとしては、酸素、酵素、ホルモンなどがあります。酸素は糖質や資質を燃焼(酸化)してエネルギーをつくりだし、酵素も代謝の過程で物質を分解し、合成する役割を持っていて、代謝を円滑に進めます。また、ホルモンは、身体の中の内分泌腺から分泌され、代謝を調節します。

代謝異常の疾病

代謝の過程で異常が起きると疾患が発生し、こうした病気のことを代謝疾患と言います。代謝の過程は非常に複雑であり、そのため、病期の種類も多種多様です。認定要領では、代謝疾患を、糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝として分けられています。

糖代謝異常の疾患は糖尿病、脂質代謝異常は血液中のコレステロールや中性脂肪が増える高血圧症や糖尿病、蛋白代謝異常は糖尿病や低蛋白症、尿酸代謝異常は痛風などが代謝異常の代表的な病気です。

認定の対象となる疾患は糖尿病が圧倒的に多いため、ここでは糖尿病を取り上げています。

糖尿病

糖尿病の原因

食べ物から吸収した糖分は消化器官によってブドウ糖として血液中に入ると、膵臓のランゲルハンス島(膵臓)にあるβ細胞からインスリン(ホルモン)が産出され、細胞中に取り込まれて、エネルギーに変換されます。糖分を細胞中に移動させるこのインスリンが体内で十分作られないと、血液中のブドウ糖が細胞の中にうまく取り入れられなくなり、血液中のブドウ糖が過剰になります。つまり、血液中の血糖値が高くなり、細胞のエネルギー不足、高血糖状態による全身組織の障害が引き起こされます。

糖尿病の種類

糖尿病には、大きく分けると、インスリンを分泌する膵β細胞の破壊によりインスリン欠乏が生じる1型糖尿病と、遺伝因子と運動不足や偏食などの生活習慣病によってインスリン低下が起きる2型糖尿病、膵臓や肝疾患、あるいは感染症などで引きおこされるその他の糖尿病、そして妊娠糖尿病とがあり、日本人の場合2型糖尿病が95%内外を占めています。

糖尿病の症状

初期には、軽い疲労感、のどの渇き、多尿などの症状ですんでいるが、病状が進むとこれらの症状が常態化し、食欲は増進するが痩せてきます。さらに進行すると血流が悪くなって皮膚のかゆみ、むくみなどが発症します。最も怖いのは合併症で、網膜症、腎症、神経障害を糖尿病三大合併症と呼んでいます。

糖尿病性網膜症は、高血糖によって網膜にたくさん走っている毛細血管に異常が起き、出血したり、血流が悪くなって、悪化すると網膜剥離が起きて失明することもあります。糖尿病性腎症は、高血糖によって糸球体の血液ろ過が悪くなって腎臓病を誘発するもので、重篤な場合は人工透析によって腎機能を代替させなければなりません。また、糖尿病性神経障害は、高血糖によって末梢神経の伝達機能に障害が起き、手足のしびれ、痛み、立ちくらみなどが起きます。さらに進行すると、無痛による心筋梗塞、低血糖による昏睡状態なども引き起こします。

糖尿病の障害認定

糖尿病に起因して発症した網膜症、腎症、神経障害、動脈閉鎖症はそれぞれ認定の対象となるが、治療や生活習慣によってコントロールすることができるレベルの糖尿病は、障害認定の対象とはなりません。

糖尿病の診断

糖尿病の診断基準は、1999年に改訂されてから約10年経て見直しが行われ、2010年7月から新しい糖尿病診断基準を施行しました。改定の要点は、従来の診断基準では、HbA1c値(ヘモグロビン・エイワンシー)は糖尿病と決定するための補助的な位置づけでありましたが、HbA1c値をより積極的に糖尿病の診断を取り入れ、糖尿病型の判定にHbA1c値の基準を設けたことがあげられます。

HbA1cは、赤血球中にあって全身に酸素を運んでいるヘモグロビンに、血液中のブドウ糖が結合したもので、全ヘモグロビンに占める割合(%)で示されます。慢性の高血糖状態を反映する検査項目として普及していること、わが国だけでなく、国際的にも治療上の指標として汎用されていることから、新たな診断基準項目に積極的に取り入れられることとなりました。

また、従来のHbA1cの表記は日本独自のJDS値でありましたが、これを国際基準値のNGSP値で表記することとしました。JDS値はNGSPに比べて、0.4%低かったため、これにより、JDS値に0.4%を加えたものがHbA1cとなります。

以上を踏まえて、診断基準は以下のように変更されました。

①早期空腹時血糖値126mg/dL以上、②75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値200mg/dL以上、③随時血糖値200mg/dL以上、④HbA1c6.5%以上が認められれば、1回の検査で糖尿病と診断されることになります。

ただし、新診断基準にHbA1cが加わっても、血糖値(空腹時血糖値、糖負荷試験、随時血糖値)のいずれかと、HbA1cの両方を評価するように定められており、初回検査と別の日に行った再検査でHbA1cのみが高くても、糖尿病とは診断されません。

また、初回の検査で、HbA1cの値が高くなく、血糖値のみが糖尿病型の場合には、糖尿病の典型的な病状(口の渇き、多飲、多尿、体重減少)や確実な糖尿病性網膜症のいずれかが認められる場合には、糖尿病と診断できるなどとなっています。

糖尿病の合併症

糖尿病の合併症は、急性合併症と慢性合併症に大別されます。

急性合併症には、糖尿病性昏睡と急性感染症がありますが、これらはインスリン療法によって発症とその予後は著しく改善されています。しかしながら、意識障害を引き起こし、臓器障害を併発することもあり、重篤な病態でもあります。一般に、糖尿病の合併症とは慢性合併症のことを言います。慢性合併症は、血管障害合併症とその他の合併症に分類できます。また、血管障害は、最小血管障害と大血管障害(動脈硬化性血管障害)に分類されます。

細小血管障害は、細小血管(毛細血管)の病変から始まり、糖尿病に特徴的な合併症です。代表的なものは、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害です(糖尿病性三大合併症)。一方、大血管症は、動脈硬化に起因する合併症で、糖尿病が危険因子となって、高血圧、高脂血症、肥満、喫煙などの危険因子と絡み合って、糖尿病の罹病経過とは無関係に発症します。

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日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/

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