クリニック・病院の職員を活性化したい、そのためには公正な人事評価システムが必要であると、考え人事評価制度の導入を検討する、クリニック・病院は少なくありません。そこで、ここではクリニック・病院の人事評価制度について解説いたします。
クリニック・病院の人事評価制度の目的
そもそも人事評価制度を導入してどうしたいのか、ということを考えたときに「頑張っている職員が報われるようにしたい」、あるいは逆に「頑張りが足りない職員には申し訳ないが相応の処遇にさせてもらう」といった声が少なくありません。
果たしてこの考えが是であるのか非であるのかというところをまずは考えなければなりません。確かに「頑張っている職員が報われるようにしたい」という考えは理にかなっているようにも思えますが、ほとんどの場合、院長や事務長が求める職員像や期待する職員像を明示することなく、たまたま院長の意向を上手く汲み取る職員が良い評価を受け、そうしたことが下手な職員が悪い評価を受けており、評価が悪い職員に対しては院長や事務長が教育や指導をすることなく万年「あいつはダメだ」などと言っていることがしばしばあります。
こうした状態で人事評価制度を行うと、確かに評価が良い職員は報われるでしょうが、評価の悪い職員はいつまで経っても悪い評価のままで、これでは組織の活性化や風土改善にはとても繋がりません。
人事評価制度というものは、院長や事務長が職員に対して求める職員像や期待する職員像を明示し、それに対して経営者として後押しし、結果として個々や組織全体のレベルが向上したと考えなければならないものであり、院長や事務長と職員が求める職員像を共有させて初めてそれを実現させることができるのです。
そういった意味では、人事評価制度を導入するにあたっては、随時職員と面談などを通じてコミュニケーションを図る必要があり、その過程において職員に問題点があるのであれば、その都度注意をするなどといったことは必要不可欠となります。
こうしたコミュニケーションを図ることなく、6月や12月の賞与支給時期に「あなたはこの点が問題でしたのでC評価、賞与支給係数は本来基本給の2.0ヶ月ですがC評価なので1.5ヶ月です」などといった対応をすれば、風土がますます悪くなるのは当然の事であり、職員が続々と離職してしまう環境になってしまうこともあるので注意しなければなりません。
処遇への反映
人事評価制度では、まずは院長や事務長が期待する職員像などを明確に提示して、それを随時フォローすることによって個々の問題点を改善へと導くことが重要となりますが、賞与などの処遇への反映については、こうした風土が根付かない状態ではすべきではありません。
特に職員間が給与明細を見せ合う職場であれば、その理由を求めて評価の良かった職員とそうではなかった職員の双方が二人して駆けつけてくることが十分にあり得ることであり、個々に説明をしたとしても労使双方でお互いに後味の悪いものとなります。
結果、その二人の仲が悪くなることは容易に想像ができ、組織風土が悪化することもあります。そのため、仮に賞与などの処遇に反映するのであれば、定期的に面談をしてこのまま問題点が改善されなければC評価になるなどということを伝えるなど、職員との十分なコミュニケーションを図る必要があり、そうしたコミュニケーションの充実があれば、評価結果において職員が不満を抱くことが少なくなります。
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評価の基準
行動の評価
医療機関、とりわけ診療所の場合はさまざまな経歴の人によって組織化されており、また小規模組織ゆえに部門間の連携やちょっとしたフットワーク、気付きなどが患者の視点では重要であるため、「○○ができる」といった能力の評価よりも「○○をしている」といった行動の評価の方が馴染みやすいケースが多いように思われます。
実際に、職員にどういったことを求めてるのかということについて院長や事務長にヒヤリングをしてみても、「報告・連絡・相談」といったことや「職員間の協力」などといったことが重要であると考える院長が少なくなく、こうしたキーワードを評価項目として設定すれば、本人に対してもフィードバックがしやすく、また職員もどういったことをしなければならないのかということが明確になるため、自分の行動改善に繋げやすいでしょう。
そして、実際の運用にあたっては、一方的に院長や事務長が職員を査定するのではなく、職員に自分なりに取り組んだということを意識させるためにも、まずは自己評価をしてもらい、その後院長や事務長が評価をし、本人と院長や事務長との間で認識のズレが生じるようであれば、面談を通じて解消する必要があります。こうしたプロセスによって本人に気づきが与えられ、行動の改善へと繋がることは十分に期待することができます。
能力の評価
人事評価においては、職員の技術レベルの向上などを図る目的で、能力向上を査定していきたいという考え方もあります。この場合は、例えば、院長や事務長が求める能力レベルというものをあらかじめ何段階か明示して、それに対して手当額を設定していくような運用を行う方法が、クリニック・病院においては馴染みやすく運用しやすいのではないかと思います。
もっとも、こうしたレベル設定にあたっては、兼務する業務がなかったり、職員の入退職によって業務レベルなどが大きく変わらないことが前提となります。
また、こうした運用を後押しする策として、研修制度を充実させたり、必要に応じてテキストなどの購入補助を行ったりすれば、結果的に職員の能力レベルは向上し、最終的には患者満足度の向上に繋がる可能性は高まります。
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多面評価(360度評価)
多面評価とは、360度評価ともいわれており、全員が全員に対して行う人事評価方法をいいます。この方法は、先輩後輩を問わず、全員に対して自分以外の全員分の人事評価シートを配布し、それに基づき人事評価をしてもらうのですが、医療機関においてはあまりうまくいかないことが多いようです。
それというのも、女性同士の職場の場合は、お互いが後から何らかの軋轢などが生じないように変に意識して正直に評価をしなかったり、また逆に必要以上に感情が入り排他的な評価をつける職員が出たりということが少なくないためです。
また、そもそも小規模の医療機関の場合であれば、職員同士で評価をしてもらうよりも院長や事務長が職員の行動をよく見るべきであり、こういったことを職員に押し付けると、人を評価したくはないということで職員のモチベーションが低下したり、必要以上に職員が疑心暗鬼になったりと、職場風土悪化の原因にもなるため、注意が必要です。
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