音声又は言語機能の障害による障害の程度は、次のように認定されます。
音声又は言語機能の障害認定基準
音声又は言語機能の障害についての認定基準は、次のようになっています。
令別表 | 障害の程度 | 障害の状態 |
国年令別表 | 2級 | 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの |
厚年令別表第一 | 3級 | 言語の機能に相当程度の障害を残すもの |
厚年令別表第二 | 障害手当金 | 言語の機能に障害を残すもの |
音声又は言語機能の障害認定要領
(1)音声又は言語機能の障害とは、発音に関わる機能又は音声言語の理解と表出に関わる機能の障害をいい、構音機能又は音声障害、失語症及び聴覚障害による障害が含まれます。
ア 構音障害又は音声障害
歯、顎、口腔(舌、口唇、口蓋等)、咽頭、喉頭、気管等の発声器官の形態異常や運動機能障害により、発音に関わる機能に障害を生じたものをいいます。
イ 失語症
大脳の言語野の後天性脳損傷(脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷や脳炎など)により、一旦獲得された言語機能に障害が生じた状態のものをいいます。
ウ 聴覚障害による障害
先天的な聴覚障害により音声言語の表出ができないものや、中途の聴覚障害によって発音に障害が生じた状態のものをいいます。
(2)「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」とは、発音に関する機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないもののことをいいます。
(3)「言語の機能に相当程度の障害を残すもの」とは、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに内容を推論したり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的になりたつもののことをいいます。
(4)「言語機能に障害を残すもの」とは、話すことや聞いて理解することのどちらか、又は両方に一定の制限があるものの、日常会話が、互いに確認することなどで、ある程度成り立つものをいいます。
(5)構音障害、音声障害又は聴覚障害による障害については、発音不能な語音を評価の参考とします。発音不能な語音は、次の4種について確認するほか、語音発語明瞭度検査等が行われた場合はその結果を確認します。
- 口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音等)
- 歯音、歯茎音(さ行、た行、ら行等)
- 歯茎硬口蓋音(しゃ、ちゃ、じゃ等)
- 軟口蓋音(か行音、が行音等)
(6)失語症については、失語症の障害の程度を評価の参考とします。失語症の障害の程度は、音声言語の表出及び理解の程度について確認するほか、標準失語症検査等が行われた場合はその結果を確認します。
(7)失語症が、音声言語の障害の程度と比較して、文字言語(読み書き)の障害の程度が重い場合には、その症状も勘案し、総合的に、認定が行われます。
(8)喉頭全摘出手術を施したものについては、原則として次のように取り扱われます。
- 手術を施した結果、発音に関わる機能を喪失したものについては、2級と認定が行われます。
- 障害の程度を認定する時期は、喉頭全摘出手術を施した日(初診日から起算して1年6カ月を超える場合を除く)となります。
(9)歯のみの障害による場合は、補綴等の治療を行った結果により認定が行われます。
(10)音声又は言語機能の障害(特に構音障害)とそしゃく・嚥下機能の障害とは併存することが多いですが、この場合には、併合認定の取扱いを行います。また、音声又は言語機能の障害(特に失語症)と肢体の障害又は精神の障害とは併存することが多いですが、この場合についても、併合認定の取扱いを行います。
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言語機能の障害について
言語の発声過程
言語は、人と人とのコミュニケーションの手段として重要な役割を持っています。
言語が脳内で発生し、言葉となって話されるまでには、いくつかの過程を経なければなりません。
まず、言葉を生成するには、どのような内容を話したいのかを考える、概念化の過程があります(思考過程)。次に大脳の感覚性言語中枢(ウェルニッケ中枢)において、概念として形作られた内容を、意味や音韻規則に則って記号化する過程があります(言語学的過程)。そして、記号化された内容を言葉として発話するために必要な筋肉などの運動の指示を、運動性言語中枢(ブローカー中枢)が運動皮質に送り、言葉となって発せられます(生理学的過程)。
なお、言語の発音にいたる過程については、さらに多くの脳機能が関わっているといわれ、認知科学面などから研究が続けられています。
発生メカニズム
こうした、一連の過程のどこかに障害があると、言語が話せなくなり、他人とのコミュニケーションに支障が出てしまいます。ここでは、発生メカニズムのうち「生理学的過程」について記述します。
発生のメカニズムは、大きく①肺からの呼気流、②声帯の振動、③共鳴作用の3つに分けて考えることができます。
①肺からの呼気流
横隔膜と肋骨の動きにより、胸郭の大きさを変化させることによって肺から空気が送り出される。発生が起きるためには呼気はある程度の圧力を持っていることが必要であり、この圧力を呼気圧といいます。肺から送り出された空気は、気管から喉頭にある声門に送られます。声門とは、左右にある声帯とそれらの間の空間とを指します。
②声帯の振動
肺からの呼気流は、喉頭にある声門を通るが、このとき声帯を振動させることによって、発声が得られます。この音声のことを喉頭原音と呼びます。
③共鳴作用
声帯で生じた音声は、まず咽頭、口腔などを振動させ、さらに鼻腔、副鼻腔などを振動させます。この振動により共鳴が起きると、咽頭で発生した音声はさらに大きな音となります。咽頭、口腔、鼻腔からできた空洞のことを共鳴腔といいますが、この共鳴腔の形が唇、下顎、頬、舌などの働きによってさまざまに変化することによって、喉頭原音は多様な語音に変わることができます。こうした語音のことを構音といい、日本人の構音は50音で表されます。
50音は、口唇音、歯音・歯茎音、歯茎硬口蓋音、軟骨蓋音の4種に分けられます。
構音障害の種類
このようなプロセスで生み出される構音を形成できないことを構音障害といいます。構音障害は、機能性構音障害、器質性構音障害、運動性構音障害に分けられます。
機能性構音障害は、病気や麻痺、口内の異常などと関係なく、幼少のころから発現する発音異常です。器質性構音障害は、唇、舌、口蓋、声帯などの発語機関に異常があることから起きる障害です。また、運動性構音障害は、脳血管疾患の後遺症などによって、中枢神経、末梢神経の異常によって起きる構音障害です。
言語機能検査
言語機能検査には、さまざまな手法が用いられています。
構音の状態
母音、子音などの発音の正確性、会話が明瞭であるか、抑揚やアクセントなどが自然に話されているかなどが検査されます。
構音器官の所見
口、唇、舌、下顎、口蓋、咽頭などの運動機能と形態などが検査されます。
言語理解力
音声言語に対して、単語や文の理解ができるか否かをみます。日常的な単語、簡単な文、やや複雑な文等の視点から、理解力の程度をみます。
言語表出力
単語や文が話せるか否か、日常的な単語、簡単な文、やや複雑な文、文の形式による具体的な情報伝達ができるかどうかが検査されます。
検査法
構音・プロソディー検査、会話明瞭度検査、標準失語症検査(SLTA)、老研版失語症鑑別診断検査、失語症選別検査(国立リハセンター版試案)などがあります。
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