体幹・脊柱・肢体の機能の障害の障害年金の認定基準、認定要領についてお伝えします。
体幹・脊柱の障害の認定基準
体幹・脊柱の機能の障害については次のとおりです。
令別表 | 障害の程度 | 障害の状態 |
国年令別表 | 1級 | ・体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの ・身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
国年令別表 | 2級 | ・体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの ・身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状で前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
厚年令別表第1 | 3級 | 脊柱の機能に著しい障害を残すもの |
厚年令別表第2 | 障害手当金 | 脊柱の機能に障害を残すもの |
体幹・脊柱の機能の障害の認定要領
体幹の機能の障害
体幹の機能障害は、高度体幹麻痺を後遺した脊髄性小児麻痺、脳性麻痺等によって生じるものです。
- 「体幹の機能に座っていることができない程度の障害を有するもの」とは、腰掛、正座、あぐら、横すわりのいずれもができないものをいい、「体幹の機能に立ち上がることができない程度の障害を有するもの」とは、臥位又は坐位から自力のみで立ち上がれず、他人、柱、杖、その他の器物の介護又は補助によりはじめて立ち上がることができる程度の障害をいいます。
- 「体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの」とは、室内においては、杖、松葉杖、その他の補助用具を必要とせず、規律移動が可能であるが、野外ではこれらの補助用具の助けをかりる必要がある程度の障害のことをいいます。
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脊柱の機能の障害
脊柱の機能障害は、脊柱の脱臼骨折又は硬直性脊椎炎等によって生じるもので、荷重機能障害と運動機能障害があります。
ア 脊柱の機能障害は、脊柱の支持機能の障害で、日常生活及び労働に及ぼす影響が大きいので重視する必要があります。
なお、「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、日常生活における動作が一人でできるが非常に不自由な場合又はこれに近い状態をいいます。
イ 日常生活における動作は、おおむね次のとおりです。
- ズボンの脱着(どのような姿勢でもよい)
- 靴下を履く(どのような姿勢でも良い)
- 座る(正座、横すわり、あぐら、脚なげ出し)
- 深くおじぎ(最敬礼)をする
- 立ち上がる
ウ 運動機能障害は、基本的には、前屈・後屈運動のみの測定で可とするが、脊柱全体の運動機能をみる必要がある場合は回旋・側屈を測定し認定されます。
- 「脊柱の機能に著しい障害を残すもの」とは、脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の他動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限されたものをいいます。
- 「脊柱の機能に障害を残すもの」とは、脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の他動可動域が参考可動域の4分の3以下に制限されている程度のものや頭蓋・上位頸椎間の著しい異常可動性が生じたものをいいます。しかし、傷病の部位が癒合してその部位のみについてみると運動不能であっても、他の部位が代償して脊柱に運動障害は軽度あるいはほとんど認められない場合が多いので、脊柱全体の運動機能、すなわち、前記イのような日常生活における動作を考慮し認定されます。
エ 脊柱可動域の測定方法については、「肢体の障害関係の測定方法」によります。
オ 神経機能障害との関係
認定に当たっては、単に脊柱の運動障害のみでなく。随伴する神経系統の障害を含めて、総合的に認定されます。
肢体の機能障害の認定基準
肢体の機能障害については、次のとおり定められています。
令別表 | 障害の程度 | 障害の状態 |
国年令別表 | 1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
国年令別表 | 2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
厚年令別表第1 | 3級 | 身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
肢体の機能障害の認定要領
(1)肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害(脳血管障害、脊髄損傷等の脊髄の器質障害、進行性筋ジストロフィー等)の場合には、「上肢の障害」、「下肢の障害」及び「体幹・脊柱の機能の障害」に示したそれぞれの認定基準と認定要領によらず、「肢体の機能の障害」として認定されます。
(2)肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
なお、他動可動域による評価が適切でないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
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(3)各等級に相当と認められるものを一部例示すると次のとおりです。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 1.一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの 2.四肢の機能に相当程度の障害を残すもの |
2級 | 1.一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの 2.四肢に機能障害を残すもの |
3級 | 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの |
(4)日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することができないが、おおむね次のとおりです。
ア 手指の機能
- つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
- 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
- タオルを絞る(水をきれる程度)
- ひもを結ぶ
イ 上肢の機能
- さじで食事をする
- 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
- 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
- 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
- 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
- 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
ウ 下肢の機能
- 片足で立つ
- 歩く(屋内)
- 歩く(屋外)
- 立ち上がる
- 階段を上る
- 階段を下りる
なお、手指の機能と上肢の機能とは、切り離して評価することなく、手指の機能は、上肢の機能の一部として取り扱われます。
(5)身体機能の障害の程度と日常生活における動作の障害との関係を参考として示すと、次のとおりです。
- 「用を全く廃したもの」とは、日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態をいいます。
- 「機能に相当程度の障害を残すもの」とは、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」をいいます。
- 「機能障害を残すもの」とは、日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」をいいます。
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